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全ては子どもたちのため、時代に合った教育を!桐蔭学園小学校取材レポート

社会・SDGs
公開日:2024年7月28日 更新日:2024年7月28日
全ては子どもたちのため、時代に合った教育を!桐蔭学園小学校取材レポート

「子どもの未来を考えると、学校の成績だけではない気がする」

「社会に出てからは非認知能力が大切だというけれど、具体的にどうやって測り、伸ばしてあげればいいのだろうか?」

そう考えたことがある保護者の方。

今回は、子どもたちのために時代に合わせた教育をされている桐蔭学園小学校への取材レポートをお届けします。

子どもたちへの教育を考える一助となれば幸いです。

もくじ

    桐蔭学園小学校とは

    桐蔭学園小学校は、神奈川県横浜市にある私立小学校。幼稚園から大学まである総合学園です。学園理念である「自ら考え 判断し 行動できる」人材育成のもと、単に大学に進学させる進学校ではなく、大学に進学した後もしっかり学び、力強く仕事・社会に出ていく子供を育てることを「新しい進学校のカタチ」と称して目指しています。
    子どもを中心とした学びで「思考力」「創造力」「チャレンジ力」「メタ認知力」「思いやり」「エージェンシー」の6つの力を伸ばし、「アクティブラーニング型授業」「探究」「キャリア教育」によって、コンピテンシーを育む教育を実践しています。
    今回は、今子どもたちに本当に必要な教育は何か、という観点でお話を伺いました。

    非認知能力とは

    非認知能力とは、知能検査や学力検査などの数値では測れない能力のことです。
    たとえば、我慢する力、好奇心、誠実さ、目標に向かって頑張る力、失敗をしても立ち上がる力、自己肯定感を持つこと、コミュニケーション能力、協調しながら物事を進める力、相手の立場になって考える力、思いやり、チャレンジする力、考える力、創造力などが挙げられます。
    これらの力は、変化の激しい社会において適応していくために必要だと考えられており、幼児期から学童期にかけてが伸ばしやすいと考えられています。
    一方、知能検査で測れる能力は認知能力といいます。

    非認知能力について詳しくはこちらから!
    非認知能力は子どもの将来に役立つ力!家庭でできる育み方もご紹介!https://miraii.jp/others-14

    非認知能力を見える化、保護者にも共有

    「数字で評価できない能力」とされている非認知能力を見える化し、保護者にも内容を共有しているのが桐蔭学園小学校です。
    副校長の塩原一成さんにお話を伺いました。
    「非認知能力は、どこの学校でも重視しているでしょう。思いやりが大切ではないという学校はありません。しかし、非認知能力については、担任の先生に委ねられ、先生たちの感覚や主観によってしまう時もあります。つまり、人によって評価が分かれてしまう可能性があるということです。どの先生が授業をしても、同じ評価となるような基準を持っていること。これを目指しております」

    桐蔭学園小学校では、全学年、全教科、全単元において、非認知能力の見える化を実現しています。
    「たとえば国語の場合。感想を書くときに、主人公の事を書いていればレベル1、主人公と相手のことを書いていればレベル2、加えて環境のことを書いていたらレベル3、そこから自分の場合はどうかと捉えて書けていたらレベル4になります。このように、非認知能力を評価できるように見える化し、教員の授業力向上を目指しております」

    見える化は担任の先生の感覚によるものではなく、「この場合はレベル〇」と、明確に決められています。
    「明確な基準があると、保護者の方との面談の時に「ホームルームでの様子や、国語で主人公のことに関してのみ感想が書かれているため、少し自分の世界に集中しすぎてしまう傾向があるかもしれません。そこへのアプローチを一緒にしていきましょう」と、話すことができます」
    確かに、根拠を示され、どんなトレーニングをすればよいかまで話すことができると、保護者も納得感を持って受け止めることができますね。

    なお、評価はそのまま保護者の方にお渡しするのではなく、面談時に説明とともに共有しているそうです。数字になっているとそこだけを見てしまいがちですが、説明とともに改善策を一緒に考えていけるのは、非認知能力を伸ばすために大切なことです。

    「非認知能力を伸ばすことは単発ではなく、継続的でなければなりません。非認知能力がのびているからこそ、アクティブラーニングに行けるのです」

    社会に出た時にみんなが魅力的だと思える人物に

    今では非認知能力を伸ばす教育も重視している桐蔭学園小学校も、かつては習熟度別授業で高偏差値を目指す教育だったそうです。
    「子どもが150万人と多くいた時代は、そのような教育も時代に合っていました。しかし、今は少子化で子どもが半分以下の70万人と減少しています。より一人一人が背負うべき責務が増える時代が来ることが予想されます。また、認知能力に関しては今後AIの支援が入っていくでしょう。そこで重要なのが人間としての魅力なのです。社会に出た時に、みんなが魅力的だと思える人材を科学的に育てていこうと、非認知能力特化型学校を目指すことになりました

    桐蔭学園小学校で非認知能力への改革を始めたのは数年前から。試行錯誤を繰り返し、現在も保護者の方の声を取り入れながら、時代に合わせて変化させていっているそうです。
    「桐蔭学園小学校に通知表はありません。保護者の方とはアプリでつながっており、連絡などもアプリ上でやっています。使いにくい、ここが良かった、などの保護者の意見もすぐに反映しています。全ては子どもたちのため。何が子ども達のためになるのか、時代に合った教育をするために、教員だけではなく、保護者とともに、新しく誰も歩いたことの無い道を踏み固めていっている状態です」

    最先端の教育をするには教員の教育も不可欠

    偏差値だけの教育には疑問を感じていても、非認知教育だけというのは不安がある保護者の方も多いのではないでしょうか。
    「今の小学1年生が大学受験をするまでに、教育や受験のあり方も変わるでしょう。今の小学6年生や中学生は、変化の途中のグラデーション期です。現行の大学受験もしなければいけません。つまり認知能力、非認知能力の両方の準備が必要です。桐蔭学園小学校では、いろんな夢を描くために全科型で準備しています」

    あくまで時代の変化を見ながら、子どもたちに必要な教育をされています。
    「グラデーション期の子どもたちは「本当に教育は変わるのか」という不安な時期です。少しずつ軌道修正しながらやっていくしかありません。小学生が大学生になるまでの12年あれば時代はかなり変わります。
    それに伴い、教員も研修や教育をしていかなければなりません。教育研究部をおいて教員に研修も行っています。教員が学びを続けないと最先端にはなりませんから」
    常に学びながら、子どもたちにとってベストな教育を、という姿勢が印象的です。

    教師は指導者から支援者に

    欠席するときはzoomを使っての授業が可能


    桐蔭学園小学校は、全国に先駆けて1990年ごろからパソコンの導入を始めていました。
    そのノウハウを活かし、認知能力を伸ばす時間を圧縮し、非認知能力を伸ばす時間を作り出しているといいます。
    「児童全員にタブレットがあるので、誰か一人が発表している間、聞いているだけではなく、全員が意見を書き込み、全員の内容を見ることができます。活動を止めずにすむんです。
    子どもには授業中に手を上げられる子もいれば、手は上げないけど記述がすごい子、みんなを仕切れる子、それぞれに自分の得意なこと、いわば色があります。昔は、みんなで同じ色にならないといけなかった。今はそれぞれの色、お互いのよいところを認め合っています。そのうえで、他の色にも挑戦してみようかな、自分の色でみんなのためにできることやってみようかなとなるんです」

    子どもの特性を見るには、大人が変わらないといけない。学校だけではなく、家庭でもいえそうです。
    活き活きとした子供たちの様子は、桐蔭学園小学校のインスタからも見ることができます。
    桐蔭学園小学校インスタ

    子どもの未来のため保護者が情報を集めて判断することが大切

    最後に保護者に伝えたい事を伺いました。
    「どの情報を信じるかは保護者に委ねられています。受験期の子どもは情報を手に入れられません。どのように時代が流れ、どのような未来が来るか予想し、情報選定するかは保護者にかかっているでしょう。情報は色々なところにあります。中学受験産業の人は中学受験が大事だといいますし、企業からの情報には意図があるようにバイアス(偏りのこと)がかかっています」

    「昔の成功例、過去がこうだった、人がこう言っているだけではなく、実際に自分の目で見たり、自分で集めた情報を信じないと、子どもの未来や選択に影響してしまうかもしれません。小学生はまだ自分で選択できないと思いますので、保護者は情報をたくさん見て、判断して、どういう将来を願うのかを考えてほしいです」

    学校を選ぶ際には、たくさんの学校に話を聴きに行ってほしい、と塩原さん。
    「私立学校は、学校の描く未来に協力したいという保護者が集まっております。同じ方向を向いている保護者が集まる環境で過ごせるのが私立小学校の強みだと言えるでしょう」

    今までのやり方では通用しない。情報を集めて判断し、柔軟な考えを持とう

    変化の激しい現代、保護者の成功法則はあまり当てはまらなくなってきました。まずは情報を集め、判断し、子どもの特性を見極め、一緒に未来に進んでいく。そんな姿勢が大切ではないでしょうか。

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